はじめに理解してほしいのは、アメリカは「受験」ではない、ということだ。日本では、大学に入学するためには、大学から課される入学試験で一定の点数を得ることが必要条件である。それに対して、アメリカの「受験」では、センター試験のような統一試験はあるものの、そのほかの出現書類等も重要視されるのである。言ってみれば、日本は「一発勝負」であるのに対し、アメリカの制度は、精神的に「持久走」のような体験をすることになる。
アメリカ受験の「持久走」は、大学に入学する年のはじめ(もしくは、前年の末)までに、「成績表」「エッセー」「推薦状」「統一試験の点数」をそろえて、大学に送付するプロセスである。これらの資料を総合的に検討した上で、入学する年の4月ごろに合否が発表されるのである。それでは、これらの必要な書類をひとつずつ説明していこう。
- 成績表―名前の通り、高校生のときの成績である。トップ大学となれば、受験生の大半が、完璧に近い成績で出願してくる。
- 推薦状―高校の先生や、お世話になった人に、推薦状を2通ほど書いてもらい、大学に送付する。当然ながら、普段から周辺の人と良好な人間関係を保っている人のほうが、よい推薦状を書いてもらえる可能性が高いため、合格の可能性も高くなる。
- 統一試験の点数―大学に入学する一年前、早い人では二年前から、アメリカの高校生は、年に数回実施されるSAT(統一学力試験)を、必要に応じて受験する。この試験は、何度でも受験してもいいことになっており、そのため、トップ大学に出願する人の中には、完璧に近い点数をたたきだす人も少なからずいる。
- エッセー―受験書類の核をなす書類であるといってもよい。名門大学では、出願者の成績や統一試験の点数が似通っているため、エッセーでどれだけ自分を表現することができるかが、合格のための重要な鍵といってもいいだろう。
個々の詳細については、ほかの記事で紹介する。総合的に見て、アメリカの大学に入学することは、仕切りが高いように思われるが、日本から出願する人が少ないため、さまざまな点で有利であることも、今後紹介していくことにしよう。
アメリカの受験は、普段からの勉強の成果、人間関係に築き方、自分の意見の表現等々、さまざまな要求している。受験するプロセスもひとつの勉強なのである。