表向きは、「他者からどのような学生がと思われているのか、客観的に把握する」ための資料なのだろう。しかし、よくよく考えてみれば、世界中の学生が同じ要領で推薦状を提出するわけなのだから、大学側はそれぞれの推薦状の内容を鵜呑みにするわけにはいかない。
大学に提出する推薦状は、どちらかといえば、「学生がどのような人間関係を築いてきたのかを把握する」ための資料と考えたほうがいい。普段から先生などと良好な関係を気づいていれば、推薦状を書いてもらうときにも、先生に時間をかけて密度の濃い推薦状を書いてもらえるはずなのである。
この点で、日本の学生は大きなメリットがあると言ってよいだろう。つまり、アメリカの学校では、数百人の学生が、同じ先生に推薦状をお願いしにいくわけである。その先生は、一人ひとりのためにさほど時間を割くことができないのだ。
日本ではどうだろうか。たしかに、推薦状というものをそもそも書いたことのない先生のほうが多いだろう。そのために、推薦状を書いてもらう先生それぞれに、こと細かくアメリカの大学入試事情を説明する必要性が生じる。手間がかかる。しかし、その分、先生側も、めったに書かない推薦状なので、かなり時間を割いて親切に書いてくれる可能性が高いわけである。
さて、Harvard Collegeを例に見てみると、アドミッションのウェブサイトに次のように書いてある。[1]
Two Teacher Evaluations
These evaluations must be completed by teachers in different academic subjects who know you well.
異なる科目の先生から計2通必要、というわけだ。具体的に言えば、それぞれの先生に、A4紙一枚ないし二枚程度の推薦状を書いてもらい、サインをしてもらった上で厳封し、大学に送付してもらう。
なお、正式な情報ではないが、経験談として、以下のことをアドバイスできる。
- 推薦状は、日本語で書いてもらってもかまわない。日本語で書いてもらう場合には、学校の英語課の先生等にお願いして訳してもらい、送付するときに日本語と英語、両方の推薦状を送る。翻訳してもらった先生にもサインしてもらうことを忘れずに。
- アメリカの大学に出願することを決めたら、早めにどの先生に推薦状をお願いできそうか、考えておくようにしよう。早め早めを意識し、できれば夏休み前に一度各先生に会って、いずれ推薦状を書いてもらいたい旨を伝えると良いだろう。
- 推薦状をお願いする際には、あらかじめ「どの先生にどんなことを書いてもらうのか」考えておくべきだろう。違う先生が、それぞれ同じようなことについて書いているとすれば、それはせっかくのアピールチャンスを無駄にしていると考えたほうがいい。
- 複数校に出願する場合、推薦状の内容は各大学、同じものを利用してよい。
くれぐれも、正式な情報は各大学の入試課に問い合わせていただきたい。
[1] Harvard College Admissions (http://www.admissions.college.harvard.edu/prospective/applying/requirements/index.html#tr)