なお、ファイナンシャル・エイドに関してここで紹介する情報は、筆者が、経験と大学が公表している情報をもとに推測にしたものに過ぎない。ファイナンシャル・エイドは、大学側も情報をほとんど明らかにしていない上、人によって見解が大きく分かれるトピックスであることを知っていただきたい。ゆえに、情報の正確性の維持には努めているものの、内容に責任を持つことができないことをご了解いただきたい。
まずは、「定価」の学費を見てみることにしよう。ファイナンシャル・エイド・オフィス(以降、FAオフィスと略す)によれば、ハーバード大学で一年間勉強するための「Cost of Attendance(在籍するためのコスト)」は、$52650(2008-2009年度、約515,9700円[1ドル98円で換算])である。[1] この「Cost of Attendance」には、学費のみならず、寮費、食費、教科書代、雑費(Personal Expences)、交通費が含まれている(資料によれば、別途、健康保険代として$1404が必要だとしている)。アメリカでは、教育産業で特にインフレの傾向が強く、このCost of Attendanceも例年数千ドル単位で増えている(07-08年度のCost of Attendanceは$50950であった)。
つまり、学校側の試算では、一年間大学に通うためには、学費300万円ほどに加え、生活費200万円ほどかかる、ということだ。四年間で2000万円以上になる計算だ。当然、このようなコストを払い続けられる家庭はそう多くない。そこで、ファイナンシャル・エイドという考え方がでてくるのである。学費の高さでトップレベルのハーバード大学は、同時に、アメリカの全大学の中でもっとも良心的なファイナンシャル・エイドの制度を持っていることでも有名なのである。
[1] Harvard College Financial Aid Office (http://www.fao.fas.harvard.edu/cost.htm)