まず、ひとつ気がついてほしいのは、日本の受験とは違い、アメリカの受験のシステムは、塾に通うことによって合格する可能性を大きくすることはできない、ということだ。日本においては、入学試験があるため、この試験をいかに正確に、そして効率的に解くか、という点に関して、システム的に学ぶことができ、必ずしも学校ではそのようなスキルを教えないため、時によっては学習塾に通うひとがでてくる、ということである。日本の受験においては、いかに唯一存在する解答を出せるようになるのか、という訓練が何よりも大切なのである。
しかし、アメリカの受験ではそうではない。そもそも、解答が存在しないからである。出願する際に、他の人と似通った解答を出しているようでは、トップの大学にはまず合格しない。願書に関して言えば、どのように自分の長所や人との違いを出すか、ということにつきる。
ということは、まず日本流の教え方を宣伝しているような海外進学用の塾は、意味がない、ということになる。塾に通っていれば、合格できる、というような宣伝の仕方をする塾があれば、それは信頼しない方がよい。
ただし、一方で、アメリカに進学するに当たって、英語力を磨かなければならないケースが多い、ということは認めなければならない。そういう意味で、統一試験(SAT)の対策の一環として、学習塾に通うことには、一定の意義があるだろう。ただし、そのような塾に通うならば、SATの点数は上がるかも知れないが、合格する可能性が大きくなるわけではない、ということをはっきりと自分に言い聞かせておくべきだ。
いずれにしろ、現在の、特に大学学部進学を対象にしているような学習塾は、どこも出願プロセスやその実際に関しては、ほとんど何も知らないと考えた方がいいし、たとえアドバイスをされても、参考程度にとどめておくべきだ。日本の受験においても、塾が願書の記入といったことまで面倒を見てくれないのと同じように、アメリカの出願においても、その手続きなどの情報収集は、必ず自分で行うべきだ。